三日坊主が頑張る読書日誌

あまりにも読書習慣がつかないので、週に1本読んだ本について書くことにしました。インターネットや仕事に関する本が多めです。

【4冊目】『マーケット感覚を身につけよう』を読んで

 少し更新が遅くなってしまいました。。

一週間に一本のペースを守って、しっかり更新できるようにしたいと思うところです。

さて、4冊目は、ちきりん氏著の『マーケット感覚を身につけよう』です。

今回のまとめからは、サマリーに加えて読後に自分が考えたことについても綴ってみようと思います。

そもそもマーケットとは?

マーケットというと、「インバウンド市場」や「モバイルアプリ市場」など、何か特定の分野の経済規模を図るために用いられるどこかばっくりとした印象を持ちがちです。しかし、本のなかでは、「不特定多数の供給者と需要者がお互いのニーズを充たしてくれる相手とマッチングされ、価値を交換する場所」と定義しています。

このマーケットの構造を理解するためには、①取引される価値需要者供給者取引条件の4つの要素を把握しなければなりません。

そして、マーケットの構造を踏まえたうえでマーケットの動きを予測・活用するためには、以下の3つの要素を理解する必要があります。

買い手と売り手が取引する動機

それぞれの要素に起こりうる今後の変化

市場のなかで選ばれる方法

これらの要素を理解するためのスキルを、「マーケット感覚」と表現しています。

マーケット感覚を鍛える5つの方法

では、このマーケット感覚を身につけるためにはどうしたらよいのでしょうか?

本の中では5つの方法が紹介されています。

プライシング能力を身につける

「プライシング能力」とは、モノやサービスの値段にとらわれることなく、自分自身の基準で価値を測ることができる能力のことです。私たちは普段、モノやサービスの価値を「相場」から測ろうとします。また、「30%オフ!」といった実際の値段と比較して購入する価値を検討する人もいるでしょう。

しかし、この値段は私たちが決めたものではなく、他者が決めたものです。他者が定めた価値基準が自分の価値基準であるとは限りません。何かの価値を判断するのに、他ではない自分の尺度で価値を判断する訓練をする必要があるのです。この訓練を積むことで、価値に気づくマーケット感覚を養うことが可能になります。

インセンティブシステムを理解する

「インセンティブシステム」とは、人が何らかの言動をとったときの背景にある要因や、その言動につながるまでの仕組みのことです。このインセンティブシステムを理解することで、市場の需要者と供給者が何に基づきどのような行動をとるのか予測できるようになります。

インセンティブシステムを理解するためには、日々人が動く仕組みについて考えるのに加えて、自分の欲望と素直に向き合うことが重要です。自分の欲望を抑制すると、自分のほしいものが次第にわからなくなり、当然他者がほしいものもわからなくなってしまいます。

市場に評価される方法を学ぶ

これまで重要な意思決定は、組織が行っていました。組織の意思決定にはキーパーソンがおり、その人を押さえることで自分の考えが通りました。また、組織の特徴として、意思決定をする前に行動を起こすことはありませんでした。

しかし、このように組織の意思決定にしがみつくと、変化の早い社会のなかでそれに応じて動くことができないですし、組織に依存した人間になってしまいます。

市場で評価されるためには、組織ではなく市場からフィードバックを得て、どうするべきか学んでいく必要があります。また市場からフィードバックを得るためには、意思決定をしてから行動に移すというプロセスはあまり適切ではありません。とりあえず決め打ちでやってみて、そのやったことに対して得られたフィードバックから意思決定をするというプロセスが大切です。

失敗と成功の関係を理解する

 多くの人は一つの物事に対して成功か失敗のどちらかであると考えますが、実際はそうではありません。本当は、失敗から成功のために必要な要素を学ぶので、失敗すればするほど成功確率を高めることができます。

学びは、学校教育や企業研修など教えられることを通しての学びと、実践を通しての学びの二つがあります。失敗を恐れて前者の学びばかりを取り入れようとすると、いつまでたっても役に立つものを身につけることができません。積極的にチャレンジし、失敗したときにフィードバックを得ながら学ぶ必要があるのです。

市場性の高い環境に身を置く

市場性の高い環境とは、需要者と供給者が直接価値を交換したり、人間のインセンティブシステムが直接働いたり、市場的な意思決定方法が採用されたりしている環境のことを指します。

この市場性が高い環境を自分が身に着けたい能力によって選び取っていく必要があります。

市場化する社会でマーケット感覚が必要になる理由

このまとめでは取り上げませんでしたが、この社会はインターネットの登場をはじめとする変化によって市場化が進んでいます。市場とは無縁でありそうな貧困支援にだってマーケットの原理にしたがって動いているのです。

これから市場化が進み、社会は大きく変化していきます。そのなかで組織にしがみついて安定を求めようとすると、仕組みが変わったときにどうしようもないことになりかねません。逆にマーケット感覚、つまり世の中で何が求められているのか考えられる力があれば、市場化による変化に適応できます。だからこそ、今の時代に生きる全員がマーケット感覚を身に着ける必要があるのです。

マーケット感覚とグロースハック

本を読んで、正直何か真新しい発見はありませんでしたが、非常に自分の思考が整理され、意識するべき力点が明確になったような気がします。

自分はWEBサービスが、その仕組み自体でいかに成長させていくのかということを日々考えて仕事をしています。専門用語でグロースハックというのですが、しっかりと施策を動力にサービスを成長させていくためには、まさにインセンティブいシステムの理解がなければならならず、それをくみ取ってプロダクトを設計する必要があります。そもそも自社のサービスが提供している価値はないなのか、立ち返って考えることもしなければならないでしょう。

本を読んで改めて、マーケット感覚を研ぎ澄まし、愚直にユーザーと向き合おうと考えた次第です。

 

 

【2冊目】『「読まなくてもいい本」の読書案内~知の最前線を5日間で探検する~』を読んで

知人がめちゃくちゃ面白いと言ってたので

早速2日遅れのブログです。。面目ない!

3日坊主が頑張る読書日誌、2冊目は『「読まなくていい本」の読書案内』です。

この本を知ったきっかけは、知人が書いた読書メーターのレビューです。

この知人、本当に本をよく読まれているようなのですが、この本を大絶賛していました。読書家がオススメするなら間違いないと思い、手にとった次第です。

本の内容としては、「複雑系」、「進化論」、「ゲーム理論」、「脳科学」、「功利主義」といった、今熱心に研究されている学問のイントロ的な内容となっています。

結論から言うと、期待以上に、本当に面白かったです!

複雑系

第一章は「複雑系」についてです。

恥ずかしながら、「複雑系」と言われても、それが何なのか、この本を読むまで知りませんでした。結論、ここで書かれていたことは、世界に存在するあらゆるものは共通の構造を持っていて、その構造こそが「複雑系」と呼ぶということです。

複雑系とは、具体的にはどのような構造になっているのでしょうか?複雑系は、いわゆるハハブ・アンド・スポークのかたちになっています。ハブ・アンド・スポークとは、物流用語で、直行便ばかりだと無数に航路が必要になるが、ハブ空港を設ければ航路を圧倒的に少なくすることができます。

下の図では、左がハブ・アンド・スポークのモデルで、右は全てを繋いだものです。ハブ・アンド・スポーク型の方が線が少ないのが一目で分かると思います。

 

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このハブ・アンド・スポーク型をした複雑系は、簡単な法則を繰り返すことによって、非常に複雑なかたちになって現れます。生物が良い例でしょう。どんなに複雑な器官でも、アデニン・チミン・シトシン・グアニンのたった4つの塩基からなるDNAからできています。このDNAがシンプルに分化していくことで、非常に複雑で、いまだに化学が解明できていない脳や神経ができるのです。

このような構造は、生物だけでなく、あらゆるところで見られます。市場経済や地形、生物の進化までも複雑系をなしているのです。複雑系を研究すれば今解明されていない謎が解明出来るのではないかと、多くの優秀な研究者が研究に励んでいるそうです。

進化論

第二章は「進化論」についてです。個人的にはこの章が一番面白かった。笑

ここでは、特に面白かった話をいくつかのトピックにまとめます。

生物は血縁度を最大化するようにできている~包括適応度~

生物界では、ダーウィンが提唱した「種の起源の法則」では説明できないことがありました。代表的な例は、働きアリや働きバチに見られる利他性です。個体の繁殖の最大化を図るのであれば、自ら子を産まずに女王の世話をする行為は説明することができません。

この問題を解決したのはハミルトンが発見した、包括適応度というものです。これが何かというと、生物は自らの子孫をたくさん増やすように進化するのではなく、自らの血縁度を最大化するように進化しているという法則です。要は、自らの血縁をたくさん残すのであれば、自ら子を増やすだけではなく、兄弟姉妹を増やすという戦略もありえるのです。そしてまさに、働きアリや働きバチは、後者の戦略をとることによって種を残してきました。

自然は、人間の知が及ぶことはないものだと考えられてきたのに、この法則によって生物の生態が数学的に記述できるようになったのです。実際に、イギリスの生物学者のジョン・メイナード=スミスは、あらゆる生物の行動をコンピュータを用いて数学的に説明していきました。ここから、本の中で知のビッグ・バンとも称される、社会生物学が誕生しました。

生物界にある市場取引

投資理論は、生物学者のトリヴァースが提唱したものです。人間が行う市場取引は貨幣を媒介しますが、人間以外の生物は貨幣を用いません。トリヴァースは、生物が貨幣ではなく、複製された遺伝子の数で効用を図っているのだと考えました。

代表的なものが、「投資理論」です。これは、生物が子孫を残すのに、コストを払っていて、そのコストの大きさによって子育てにかけるコストが変わるという理論です。例えば、魚や昆虫は、一度に大量の卵を生むので、そのうち1匹でも大人になれば、子孫を残すことができます。このように子孫を残すのにコストがかからなければ、甲斐甲斐しく世話をするようなことはしません。一方、人間を含む哺乳類は、子を産むのに長い期間を要し、一度に大量に産むことができません。従って、子を育てて次の子孫を残してもらうために、大切に育てるのです。

「互恵的利他主義」も生物界の市場取引の一例です。肉食の大きな魚が口を大きく開けると、ソウジウオがやってきて、歯に残る食べかすを食べます。これは、ソウジウオに歯をきれいにしてもらう代わりに、食べかすという報酬が発生する取引として見ることができます。

 このような、他の動物との取引を通しての互助関係も、社会生物学で説明ができるようになりました。

心の進化~進化心理学~

進化心理学とは、身体と同じように、心も進化の過程でできたとする学問です。

本の中では、「愛」は異性と関係を持ち、子孫を残すためにこころにプログラムされた感情だと記されています。そして、男性と女性は異性に対する感情が異なることを両性の生殖戦略の違いによって説明します。

一般的に、男性は多くの女性と関係を持ちたいという感情を持つ傾向があります。これは、男性が精子を放出するのにコストがかからず、より多くの女性と関係を持つことが、自分の子孫を残自らが産める子の数も限られます。従って、女性はその限られた機会を大切に扱おうとするため、慎重に相手を選ぼうとします。

進化心理学は、文学で何度も描かれてきた「愛の不毛」を簡単に、しかも無機質に説明することができるのです。

ゲーム理論

第三章は「ゲーム理論」です。「囚人のジレンマ」等で言葉とその意味についてはなんとなく知っていたのですが、それがどうしたという印象でした笑

しかし、経済学が、このゲーム理論からミクロ経済学が進歩し、さらには世界の現象を統一的に記述するポテンシャルをもつことがわかりました。

そもそもゲーム理論とは

ゲーム理論は、利害関係の相手と取引をするときに最適な戦略をお互いが考え、お互い満足するところに落ち着く(均衡)ことを理論として示すものです。

ゲーム理論は、経済問題を数式化することを目的にして作られました。冷戦などの国際関係を説明するのに極めて優れた理論となったものの、経済を汎用性を持って説明することができませんでした。

「人間の非合理性」から生まれた行動ゲーム理論

ゲーム理論が経済問題を説明しきれなかった理由は、理論で前提とされている人間が完全に合理的な判断をするからです。しかし、現実では人間は合理的ではありません。時と場合に応じて、理性と直感(本のなかでは直感が進化の過程で生まれるのものであることが例示されていて面白いです!)を使い分けて行動するのです。

人間は非合理的であることを前提として生まれたのが「行動ゲーム理論」です。行動ゲーム理論では、人間は限定合理的的なものだが、ゲームを繰り返すことで学習し、1つの均衡に収斂するというものです。手触り感がある人間が前提とされることで、経済学は社会学文化人類学歴史学と融合することになります。

理論なしに解を得る、統計学

この世界はゲームの集合として捉えることができます。植物や動物や人間は自分の利得を最大化するためにゲームを行っているのです。これがモデル化できたら世界を統一的に記述できるのですが、あまりに複雑なため、現状実現することはできません。

複雑な事象を解明することなく解を得られるものとして発展したのが統計学です。今や統計学は、脚本を解析して大コケを防いでいるそうです!

脳科学

第四章は、「脳科学」です。

人間の意識について言及されていて、「えーそうなの!?」と思った内容がいくつもありました。ここでは最も面白かったトピックを紹介します。

右脳と左脳には別の人格が存在する。

重度のてんかん患者への治療手術をする際に、右脳と左脳の橋渡しをしている脳梁という器官を切除することがあるそうです。この手術をすると、左で視覚したものを言語化することができなくなります。

このような状態の患者の方に、左視野に「笑え」というメッセージボードを出したところ、指示を意識できないにも関わらず、笑い始めたのです。患者の方に理由を聞いたところ、先生の顔が面白かったからと言ったそうです。

つまり、左脳と右脳には別の人格が存在しており、それを認識できない患者の方が、自分の行動に整合性をとるために事後的に理由を作ったということです。この実験から、記憶は自ら作り出すことができることもわかります。

 

功利主義

最後の章、第五章は「功利主義」です。

この章で一番驚いたのが、人間の政治的な立場でさえも進化論で説明できる部分があるということです。詳しくは以下にまとめていきます!

 

そもそも功利主義とは?

功利主義とは、「最大多数の最大幸福」の原理として知られるものです。幸福を「効用」として計測可能なものとして捉え、効用を最大化するものが功利主義になります。功利主義ゲーム理論で最適なルールを決めればよく、均衡に収斂していきます。

功利主義が均衡に収束するのに任せておけば良いのではと感じるが、実際はそうではありません。なぜなら、純粋な功利主義は道徳を無視するものになりうるからです。(例:いじめを最小化したいなら、みんながひとりの人間をいじめれば被害は最小化する)この道徳の基盤になるのが、「正義」です。

 

正義とは何か

では、正義とは何なのでしょうか?
本の中では、正義とは娯楽であると述べられています。人間は進化のなかで、快楽を正義とし、不快なものを悪としてとらえます。復讐劇に背徳的な面白さを感じるのは、自然で生き残るために必要なものであったからです。

 

フランスの国旗は、「自由」、「平等」、「友愛」の3つ正義を掲げているが、これはチンパンジーにも見て取ることができます。チンパンジーの世界でも強奪は認められておらず、(私的所有権がある)、不公平を認識すると激しく怒るのです。ご存知の通りチンパンジーにはボズザルとそうではない猿がおり、ピラミッド型の共同体があります。

 

衝突する正義

進化の過程でチンパンジーと同様に、上記の3つの正義を持っているとすると、3つの政治的な立場が生じることになります。

①自由を求める「自由主義

②平等を重視する「平等主義

共同体主義を重視する「共同体主義

そして、これらは全てを同時に叶えることができない、トレードオフの関係になっています。

正義の基準はどこにあるのか

全てを叶えることができないトレードオフな環境のなかでは、どのように正義の基準を決めれば良いのでしょうか?これに対してひとつの答えを出したのが、ジョン・ロールズの「格差原理」です。格差原理とは、自分が生まれてくる条件がどのようなものか全くわからないときに全員が納得できる基準が正義の基準だというものです。

この格差原理を引き継いだのが、アマルティア・センです。センは、格差原理に新自由主義の考え方を導入しました。基本的には人々の労働生産性を高めるために効率的な市場で自由に競争をさせます。ただし、人々が等しい機能やポテンシャルが発揮できるように努力する必要があるとしています。センは、パイを大きくするために、功利主義で「機能と潜在能力の最大化」を目指すべきだと主張したのです。

本を読んで

本一冊でここまで驚きと発見があることってそうないんじゃないかと思えるほど面白い本でした。「読まなくていい本の読書案内」ですが、読みたくなる本が増えるそんな本です。

また、著者は過去のパラダイムにすがる人々について繰り返し記述しています。過去にすがるのでなく、新しいものを受け入れる柔軟性と素直さはこれからも持ち続けたいなと感じました。




 

 

【1冊目】『鬼速PDCA』を読んで

 なぜ『鬼速PDCA』を読み始めたのか

あまりにも読書習慣が身につかないので、思い切ってブログを始めて外圧をかけることにしました。

週に1本は記事を上げられるように、読書を継続していけたらなと思っています。

 

記念すべき一冊目は、冨田和成さん著の『鬼速PDCA』です!

本を知ったきっかけは就職活動。この本の著者である冨田和成さんは株式会社ZUUという、急成長中のFintech企業のCEOです。

就職活動でZUUの選考を受けることで本の存在を知ったこと、そして、「PDCA」という、わかってるつもりだけどイマイチピンとこないフレームワークについて深く知りたいと思ったことから、手にとって読み始めました。

 

読んだだけではもったいないので、この本で学んだことを生かして、新年の目標としてアウトプットしてみたいと思います!

以下は本に書かれていたPDCAの具体的な方法になります。

実行レベルに落とし込むための「計画」

まずは、PDCAのPにあたる計画(Plan)です。自分は計画を立てたそばから忘れ、実行されることなく終わってしまうことが多いのですが、この本には、そうならないための具体的な方法が示されていました。

STEP1 ゴールを定量化する

計画の第一段階で、いつまでに何を達成するのか、目標を具体的な数値に落とし込んでしまいます。このときに重要なのが、数値という計測可能なものに落とし込むことが重要です。これは定性的な目標でも例外ではありません。例えば、「痩せたい」という目標も、「〇〇(期日)までに10kg痩せる」といったように、必ず達成できたかどうか判断できる数字ベースに落とし込みます。

また、「いつまで」の部分の期限は長すぎるのも短すぎるのもよくありません。長すぎるとモチベーションの維持が難しいのに加え、計画を立てたときから環境が大きく変化している可能性が出てきます。逆に短すぎると、施策の打ちようがなく、成果も見えづらくなってしまいます。計画を立てるスパンは1~3ヶ月が理想的だそうです。

STEP2 現状と目標のギャップを認識し、それを埋めるための課題を考える

目標が決まったら、次は現状認識です。目標に対して自分がどの位置にいるのか確認しましょう。それができたら、現状から目標まで到達するために乗り越えるべき課題は何なのか洗い出します。短所を克服するだけでなく、長所をより良くするという考え方でも問題ありません!

ここでは、課題となるであろう問題を抽象・具体問わず出し切ることが大切です。

STEP3 取り組む課題として適切なものを3つピックアップする

STEP2の作業で解決すべき課題が山ほど出ますが、全てに取り組んでいる余裕はないでしょう。

そこで、「インパク」、「時間」、「気軽さ」の観点から、取り組むべき課題を3つに絞り込みます。具体的には、以下の基準で課題を選定することを推奨しています。

・最もインパクトの大きいものを最低1つは選ぶ

インパクトが劣っていても短い時間でできそうなものであれば選ぶ

・同列の課題は、気軽さが大きい方で選ぶ

 STEP4 3つの課題をKPI化する

STEP3で課題を3つに絞り込んだら、次はこの課題を数値化します。例えば、「全く運動をしていない」という課題を挙げたのであれば、これを計測可能なものにするため、「10分以上運動する日を3日作る」と言うように、数値化します。ここで数値化したものをKPIと言います。

KPIを設計する上で大切なことは、それが頻繁に検証でき、かつ成果が数値に正確に反映されるものを選ぶようにしましょう。1つの課題に対して、KPIは1つだけです。

また、定めたKPIのなかで特に重要なKPIは最重要KPIとして、格別ウォッチしていく必要があります。

STEP5 KPIを達成するための解決案を考える

各課題にKPIが設定できたら、次はそのKPIを達成するための解決案を考えます。そして、課題を選定したときと同じように解決案を選定していきます。本の中では、以下の基準で課題を選定することを推奨しています・

・最重要KPIの解決策は、最低でも1つ、できれば2つ選定する。

・それ以外のKPIでも、できればインパクト重視で解決案を1つは残す。

・短時間で終わるものはインパクト小でも残す。

 

以上が計画段階で踏むべきステップになります。計画を立て終わったら、これを継続して意識出来るように目に見えるようにしておくことが大切です。 また、そもそもなぜこの目標を追っているのか、原点に立ち返ることも有効であると述べられていました。

しっかりとシステム化してやり遂げる「実行」

計画をしっかりと立てたら、次は実行(Do)に移ります。これにあたって踏むべきステップは、大きく分けて5つです。

STEP1 解決案を「Do化」し、取り組むことを絞る

まず、計画段階で洗い出したKPIの解決案を実行ベースに落とし込みます。例えば、「会社の数字に強くなる」という解決案はを実行ベースにすると、「簿記の本を読む」といったかたちになります。この本では、上記のように実行ベースに落とし込んだもののことを、「Do」と表現します。各解決案に紐づくDoは、解決案が抽象的であればあるほど多くなります。1つの解決案に対して、少なくても1つはDoが紐付いている状態にしましょう。

次に、複数出たDoに優先順位をつけます。このときも今までと同様にインパクト」、「時間」、「気楽さ」で判断します。

STEP2 Doを数値化する

解決案をDoに落とし込んだら、進捗状況を計測するためにDoを数値化します。この数値を本の中ではKDI(Key Do Indicator)と呼びます。KDIは次の検証段階でDoの状況を計測するために用いるので、検証のサイクルに合わせて設計するようにしましょう。検証サイクルに応じてKDIを分割したものをラップタイムと言います。

STEP3 Doを「To Do化」する

Doが計測可能なものとなったら、DoをTo Doに落とし込みます。「Do」と「To Do」の違いは、前者が漠然としたすべきことであるのに対し、後者は、実行に迷うことがないタスクレベルまで落ちているという点にあります。To Doを毎日欠かさずチェックし、進捗の確認をするようにしましょう。このタスクは元々立てた目標に紐付いているものであり、これらを消化することで確実に目標に近づくことができます。

次のサイクルに繋げる準備「検証」

続いては、PDCAのCにあたる、検証(Check)です。具体的には、「KGI」、「KPI」、「KDI」の検証ですが、分割されたものになればなるほど検証の頻度が多くなります。

検証には、上手くいかなかったときの検証上手くいったときの検証の2種類があります。

上手くいかなかったときの検証

上手く行かなかったときは、分からなかったときの原因を突き止めます。下記にKDI、KPI、KGIが上手くいってないときの検証方法をまとめます。

KDIの検証

KDIが上手く推移していないときは、まず十分な時間をかけられていたのかを確認します。かけられたのにKDIが未達だったときは未達である理由を、かけられていないときはなぜかけられなかったのか考えましょう。

このようにして、何故を繰り返すことで、KDIが未達になってしまったボトルネックを突き止めるのです。

KPIの検証

KPIがうまく推移していなければ、以下の4つの観点から原因を考えます。

・行動が伴っていなかった(KDIが未達)

・行動は合っていたが不十分だった(Doの不足)

・想定していなかった課題があった(課題が未発見)

・仮説で立てた因果関係が間違っていた(KPIとKDIの連動性が取れていない)

 KGIの検証

KGIがうまく推移していなければ、以下の2つの観点から原因を考えます。

・KGIと課題の連動がとれていない

・課題とKPIの連動がとれていない

上手くいっているときにも検証を!

計測している各数値が未達のときは、だめなところに目がいってしまいがちですが、できているところ(強み)に目を向けることも大切です。強みを自覚すれば、継続して再現することが出来るようになります。

検証を受けて次に繋げる「調整」

PDCAの最後は調整(Adjust)です。

通常のPDCAのAはActionですが、この本ではAdjustと表現されています。これは、Actionが「改善」という意味合いが強く、強みの伸長の観点が抜けているということから、Adjustの方が適していると記されていました。

調整では検証で判明した、各数値の進捗率、できた要因やできなかった要因を受けて、変更する必要が有るものは変更していきます。

この段階での調整パターンは以下の4つです。

・ゴールレベルでの調整

・計画の見直しが必要なものの調整

・解決案、Do、To Doレベルでの見直しが必要なものの調整

・見直す必要なし

これらの調整案から優先順位をつけて、次のサイクルにつなげていきます。

本を読んで

 本を読んで、自分が以下に「PDCA」という言葉を軽率に使っていたのか思い知る一冊でした。印象的だったのは、著者である冨田さんが、第一章で言っていたこと。PDCAを回すから自信が生まれ、自信が生まれるからPDCAを回すモチベーションが湧く、いわば鶏と卵の関係にあるという話です。誰しも成長していることが実感できることは嬉しいことですし、その嬉しさがあるからまた頑張れるんじゃないかと思います。

PDCAはそのサイクルを主体的に作り出すことができるのだと感じました。とにかくやってみないと始まらないことなので、早速正月明けのダイエットからPDCAを回そうと考えた次第です。